TRIVIA

“短パンが履きたい”

”冒頭で忠良の双子の娘たちが先導する“短パン・アピール”。2010年3月15日、同様の抗議行動が台南女子高級中学(高校)で実際に起きている。女子高生2,000人近くが朝礼中の校庭で一斉に長ズボンを脱ぎ、下に履いていた短パン姿になった。新しく赴任した教官が制服指導を強化し、「短パンは体育の時間だけ」「ジャージの上着ファスナーは制服の第二ボタンの位置まで上げる」などとしたことへの反発からだったという。抗議の結果、学校側は短パン着用を認め、制服規定を見直すことを約束した。

台湾の戒厳令と学生運動

photo台湾は1949年5月20日から1987年7月15日まで、38年と56日という世界最長の戒厳令下にあった。

発令された1949年は、中国大陸で共産党が中華人民共和国を樹立し、共産党との内戦に敗れた国民党政府が台湾に渡ってきた年。中国大陸(共産党)と戦争状態にあるとして、台湾全土で言論、出版、結社、集会などの自由が制限され、ストライキや授業のボイコットも禁じられた。学校での台湾語使用も禁止され、話すと体罰や罰金を課せられた。港湾都市の高雄と基隆には、深夜1時~朝5時の外出を禁じる通達も出されていた。

劇中の学生運動は、1990年3月16日から22日にかけて実際に起きたもので、「野百合学運」「三月学運」などと呼ばれている。全国の大学生約6千名が参加して、中正紀念堂広場に座り込み、「国民大会解散」などの民主化要求を掲げた。

心仁の義父

心仁が「院長」と呼んで仕える妻の父は、台湾の内閣に当たる「行政院」の長で、首相に相当する(国家元首である総統から直接任命されるため、政権の方向性を強く反映した人物と言える)。心仁はかつての学生運動のリーダーから、政権の中枢にある義父のスタッフへ転身したことになる。

台湾の統治構造は元首である総統のもとに、行政院、立法院(国会)、司法院(最高裁判所)、考試院(公務員人事を担当)、監察院(公務員の弾劾と国政調査を担当)を置く五権分立制。

 

玉蘭とクスノキ

1985年の高雄でヘッドライトをつけた美宝と忠良がしていたのは、忠良の実家で家業として栽培されている玉蘭(ギンコウボク)の花を摘む仕事。

玉蘭の花は独特の甘い香りがあり、芳香料として車の中に飾ったり、寺で花皿を供えたりと、台湾の人々の生活に根付いている。信号待ちのドライバー目当てに、交差点近くに立つ花売りも多い。生産地では毎晩、開く直前の花を日没から2~3時間のうちに摘み取り、各地に出荷する。繁忙期には学生アルバイトも雇われ、夜の闇の中でヘッドライトを光らせて作業をしている。

腹痛(生理痛)に苦しむ美宝に、忠良が摘んでそっと渡すのはクスノキの葉。葉を揉むとツンとした独特の香りがして、鎮痛効果が得られる。樟脳の原材料になることから、日本統治時代には台湾にクスノキのプランテーションが作られていた。

2014年6月7日(土)よりシネマート六本木シネマート心斎橋ほか全国順次公開

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監督・脚本:ヤン・ヤーチェ
出演:グイ・ルンメイ、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーン 、チャン・シューハオ、レナ・ファン、ティン・ニン
製作:イェ・ルーフェン プロデューサー:リウ・ウェイラン 撮影:ジェイク・ポロック
美術:リー・トゥンカン 音楽:ジョン・シンミン 音響:ドゥー・ドゥージー
編集:リャオ・チンソン、チャン・チャーホイ
原題:女朋友。男朋友(GF*BF) 日本語字幕:木村佳名子
提供:ポリゴンマジック 配給・宣伝:太秦 宣伝協力:グアパ・グアポ
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【2012年/台湾/中国語・台湾語/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/105分】