PRODUCTION NOTES

photo80〜90年代の台湾とある親子

1980〜90年代の台湾を描きたいと希望していたヤン・ヤーチェ監督は「あの頃の台湾は情熱にあふれていた。ようやく自由を求めて声を上げ始め、自由のために誰もが情熱を傾けていた。それと比べると現在は安定しているが静かで冷たすぎると思う。あの頃の情熱を取り戻したくて、この映画を作った」と語っている。また、脚本を書く際に「ある男性が孤児を養子にして10数年育てたが、何らかの理由で世間には兄弟と公表していた。しかし、家では子供は彼をお父さんと呼んでいた」というコラムの記事から着想を得たそうだ。これが忠良と双子の関係に取り入れられることになった。

42日間にわたる各地での撮影

高雄を中心に基隆、台北、新竹などで42日間にわたって撮影された本作。特筆すべきは当時、学生運動が盛んに行われていた中正紀念堂でのロケだ。台北市電影委員会や政府の協力を得たことで、大規模な学生集会の様子が再現された。撮影にあたって国防、軍、警察から警備車両や鉄条網、バリケードなど、実際に暴徒を沈静化するために使われた道具を借りることができたことも撮影の大きな助けとなった。蒋介石を顕彰するこの施設での映画撮影は本作が初めて。また、3人の川泳ぎのシーンが撮影された屏東県の涼山瀑布は、監督が20数年前に訪れて印象に残った場所だという。撮影が行われたのは11月。冷たい水に何度も飛び込んだ俳優たちの苦労は計り知れない。

photo監督の世界を体現した俳優たち

ヤン・ヤーチェ監督も深く関わっていた『藍色夏恋』でデビューしたグイ・ルンメイと、当初同作の主役としてスカウトされたジョセフ・チャン。最後にキャスティングされたリディアン・ヴォーン。彼らはストイックなまでに役と向き合った。グイ・ルンメイは高雄の方言をマスターし、当時の社会運動についても資料を読みあさり学んだ。また、初めてのロングヘアに挑戦。この前がショートヘアの高校時代なので、一見かつらにも見えるがそうではない。実は髪の長さを考慮して、最初に40代の忠良のパート、次に大学時代、社会人、最後に高校時代という順序で撮影が進められたのだ。

ジョセフ・チャンは元々心仁(シンレン)役を希望していたが、忠良と似た境遇に身を置く監督の知人の話に感銘を受けて、忠良を演じることを決意。4〜5kg減量し、撮影時も夕飯をほとんど食べずに体重を保ったという。リディアンもキャリアは浅いながら、彼だけが持つ魅力を十二分に発揮した。

2014年6月7日(土)よりシネマート六本木シネマート心斎橋ほか全国順次公開

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監督・脚本:ヤン・ヤーチェ
出演:グイ・ルンメイ、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーン 、チャン・シューハオ、レナ・ファン、ティン・ニン
製作:イェ・ルーフェン プロデューサー:リウ・ウェイラン 撮影:ジェイク・ポロック
美術:リー・トゥンカン 音楽:ジョン・シンミン 音響:ドゥー・ドゥージー
編集:リャオ・チンソン、チャン・チャーホイ
原題:女朋友。男朋友(GF*BF) 日本語字幕:木村佳名子
提供:ポリゴンマジック 配給・宣伝:太秦 宣伝協力:グアパ・グアポ
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【2012年/台湾/中国語・台湾語/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/105分】